第11話 お兄ちゃまは王子様桜蘭高校ホスト部第11話 お兄ちゃまは王子様 庭園のようなところを歩いている少女は、怪物が出てくるかもしれないからお兄ちゃまを探さなければならないのと思っているようです。 先程の少女は赤絨毯の階段の踊り場に飾られている絵の前で、お兄ちゃまは素敵な王子様なのできっと怪物を退治してくれると思っているようです。 桜蘭高校の校内を歩いている少女は第三音楽室の前で立ち止まり、中に入ります。 ホスト部が警察の衣装を着て、出迎えます。 「おや、これは珍しいお客さんだな。ようこそ、my子猫ちゃん」 頬を赤らめる少女。 「子猫ちゃん、どこから来たのかにゃ?」 少女は逆ハーレムと言い出すので固まるホスト部メンバー。 逆ハーレムという言葉を聞き間違えたと環はプールで泳いだ時の水がまだ耳の中に残っているようだと感じます。 双子もそう感じているようです。 少女が今度はしゅちにくりん(酒池肉林)という単語を口にしました。 また固まるホスト部メンバー。 少女はしゅちにくりんだと喜んでいます。 そして、少女は鏡夜をめがねキャラ、ハニー先輩をろりしょた、モリ先輩をすといっくけい、双子をきんしんそーかん、ハルヒをがりべんと言います。 少女が環の方を向くので、怯える環。 少女は環を見て、お兄ちゃまと涙を流して抱きつきます。 金髪だからお兄ちゃまと。 双子は環に妹なんていたのかを尋ねます。 環は1人っ子のはずだと言います。 ハニー先輩は2人とも金髪なので、言われてみれば似てるかもしれないと言っています。 鏡夜はそもそも眼鏡キャラとお兄ちゃまは同列の言葉なのかと考えています。 ハルヒはいいじゃないですか、自分なんてがり勉ですよと言います。 少女に名前を尋ねる環。 少女は霧美だと答えます。 きりみという言葉で魚の切り身を思い浮かべるハルヒ。 「霧美ちゃん、何かの間違いじゃないかな?たぶん俺に妹はいないはずなんだが…」 霧美は金髪なのにお兄ちゃまじゃないのとうりゅと涙を浮かべ始めます。 つられやすい環も涙を浮かべ、今日から君のお兄ちゃまだよと抱っこしながら回転します。 いくら情に流されやすいからって幼児に無責任なこと言っていいと思っているんですかと言うハルヒ。 「無責任じゃないもん。ちゃんとお世話するもん。だからお家につれて帰るんだもん」 どうしましょうと鏡夜に尋ねるハルヒ。 ひょっとして高等部に金髪の兄がいるのではないかと推測する鏡夜。 霧美~霧美~と不気味に響く声。 ホスト部に金髪の男性が入ってきました。 どちら様と尋ねる双子と、外国の人だと言うハニー先輩。 霧美~と近づいていく男性ですが、ご装束をお忘れですとメイドや秘書が服を持ってきます。 黒い装束を身に纏い、かつらを被ると、あら不思議、猫澤先輩になりました。 梅人坊ちゃんは明るい光が大の苦手、それ故に黒装束を身に纏っていないと、明るさに耐えられず倒れてしまうとメイド呉竹教えてくれます。 金髪ですら駄目なようです。 秘書の角松が逆に妹の霧美は暗いところが大嫌いだと教えてくれます。 霧美は猫澤先輩の妹だということが分かります。 猫澤先輩がベルゼネフを手に、霧美に近づいていきますが、お化けと泣き出し、環に抱きつきます。 「大丈夫。この呪い人形ベルゼネフはちっとも恐くないんだよ。猫澤家は代々猫をかたどったものを崇拝してきたのだ」 恐がっているのは人形ではなくて、猫澤先輩本人なのではと言うハルヒと頷く鏡夜。 そんな格好してるからじゃないのと言う双子は親切に黒装束を脱がせてあげようとしますが、明るくて死ぬと嫌がる猫澤先輩。 部屋を暗くすればいいよとカーテンを閉めるハニー先輩ですが、暗いの嫌と霧美が泣き出してしまいます。 この正反対の体質が生み出した悲劇性こそがまさにお2人が猫澤家のロミジュリと呼ばれる由縁だと言う呉竹。 ロミオとジュリエットは兄妹じゃないし、状況がだいぶ違うと言うハルヒ。 呉竹は知っているが、これは思いついた素敵キャッチコピーだと言います。 ちなみに霧美様のお迎え役だという角松。 猫澤の人は皆こんな怪しいのかなと言う双子。 目を光らせる呉竹。 「何をおっしゃいますか!!猫澤家はロシアのトカレフ王朝の系譜に属する由緒正しき家系にございます!!」 呉竹はそう言いながら、猫澤先輩を振り回しています。 トカレフということで拳銃というか銃弾を思い浮かべるホスト部メンバー。 環はロマノフ王朝ではと突っ込んでいます。 呉竹は無視して、何の因果か何百年に一度梅人様のように闇に魅入られた運命の子が生まれるという言い伝えが…あったりなかったりするのでございますと言います。 会ったりなかったりってどっちなんだよと思うホスト部メンバー。 猫澤家アルバム 「梅人様はその体質故に黒装束なしで妹君に近づくことが叶わず、霧美お嬢様は肖像画のみで知っている御伽話の王子様のような兄上に恋焦がれ、高等部に兄上が在籍すると知ってからは時折こうして梅人様のお姿を捜し求めるようになったのでございます。勿論私共も王子様モノの童話などでお嬢様を宥めし続けて参りましたが…流石にネタが尽き、最近では王子キャラの出てくる少女マンガまでレパートリーを広げてみましたら、これがすっかり夢中になられて…」 霧美がしゅちにくりんなどの単語を言っていた原因はこのメイドかと分かる双子。 「少女マンガで酒池肉林って…刺し身ちゃんは…」 切り身だと突っ込む双子と、霧美だと言う猫澤先輩。 霧美ちゃんは猫澤先輩がお兄ちゃんだということを知らないのかと尋ねるハルヒ。 落ち込み、泣き崩れる猫澤先輩。 呉竹は霧美に何度も話しているが、信じてもらえないのだそうです。 猫ちゃんが可哀想だよと泣くハニー先輩。 猫澤先輩は霧美が暗闇を愛してくれるようにと毎晩お祈りしてるそうです。 双子はあんたが明るいところを平気になれよと言います。 角松と呉竹は霧美に帰るように言いますが、お兄ちゃまと一緒と環に抱きついたまま泣き出してしまいます。 猫澤先輩は私のことなどはどうでもいいのです、どうか霧美を可愛がってくださいと去っていきました。 鏡夜は兄弟というのはどこの家でも問題の種だなと言います。 ずっと1人っ子だったのでハルヒは羨ましいと言います。 せっかく兄弟がいるのに仲良く出来ないのは寂しいですよねとも言います。 環は抱いていた霧美を降ろし、君のお兄ちゃまではないと言います。 でも、王子様のような本物のお兄ちゃまがいるから安心してとも言うと、霧美は頬を赤らめます。 「ここを訪れた以上、霧美ちゃんは我がホスト部のお客様。我が桜蘭ホスト部は女の子の幸せのために存在する。思い合う兄妹同士が一緒にいられないなどあってはならぬ大問題。これより猫澤先輩を霧美ちゃん好みの明るい王子様キャラに改革する大作戦を決行する」 略してキャラ設定変革計画の開始です。 呉竹と角松はキャラを変えることが可能なのか半信半疑です。 ハルヒはいくら情に流されやすいからと無責任な発言をしない方がいいと言いかけますが、環はにやりと笑い、キャラ設定の変革に関しては心強い味方がいると言います。 強力モーターと高らかな笑い声によってれんげの登場です。 第三理科室では自動でカーテンが閉められます。 暗室機能があるようです。 蝋燭が灯されます。 「蝋燭に揺れる君の黄金の髪…輝く象牙の肌…月光に照らされた一輪の花よりも神秘的なその微笑みは…そう…まるで…あたかも呪われし蝋人形のごとき禍々しさで~~…」 違うとハリセンで猫澤先輩を叩くれんげ。 れんげは誰がそんな台詞を教えた、オカルト用語は禁止と何度言ったら分かるんじゃと怒っています。 しかし、猫澤先輩が持っているボキャブラリーはそういった類のものばかりだそうです。 口答えは禁止、王子様キャラたるものはそうやすやすと女々しい言い訳はしないと怒るスパルタ教育です。 「いい?影があるのはいいのよ、影があるのは。孤独なキャラは幼い子にも結構効くのよ。だけど、今時オカルトやホラーってもってのほかですわ」 れんげはモリ先輩にNGワードを追加するように言います。 黒板には花子ちゃん、インフェルシア、冥府十神、呪いのビデオ、トオルちゃん、閣下、ドクロ、バンパイア、毒リンゴ、カーマスートラなどという言葉(NGワード)が書かれています。 蝋人形が追加されました。 ホスト部メンバーは見てるだけです。 環は後で呪われたら嫌なので、見てるだけなのだそうです。 れんげは今日もあれにいってみますわよと言います。 あれはまだ私にはとても…と猫澤先輩は乗り気ではありません。 猫澤先輩に懐中電灯の光を当てるれんげ。 懐中電灯にうろたえる猫澤先輩にうろたえないようにとれんげは根性の問題だと言います。 エドガーだって気合と根性で十字架を軽くあしらってたでしょうと言うれんげの言葉に、オカルトは否定していたのではと言う猫澤先輩。 れんげはフィクションはいいが、ファッションは駄目だと言います。 後ろではハニー先輩が黒板で落書き中です。 双子と環はそうなんだと聞いていますが、双子は自分は妙なコスプレしてるくせにと言っています。 れんげは猫澤先輩に台詞に気持ちがこもっていない、練習相手を霧美ちゃんだと思うように言います。 しかし、霧美は土気色の顔ではないと言う猫澤先輩。 そう練習相手とは茶色のクマのぬいぐるみにかつらを被せたものです。 問答無用と怒っているれんげは心の目で見るように言います。 「そう、全ては霧美ちゃんのためだ。心の目を発動させれば、きっとその人形が本物の霧美ちゃんに見えるはず!!」 その言葉に目を光らせた双子は環にこんなのを用意してみましたとマネキンにハルヒの髪型のかつらを被せ、水着を着せたものに愛を語るように言います。 無表情なマネキンなので、これがハルヒ?とテンション低めの環です。 双子が何事もお手本だと言います。 マネキンを心の目で見てハルヒだと感じます。 本物のハルヒが話しかけてきたので動転する環。 「今日も部室の方に霧美ちゃんが来てるんですけど、気色悪いことして遊ぶ暇があるなら霧美ちゃんの相手も少しはしてくれませんかね!?」 気色悪いという言葉にショックを覚える環は体育座りです。 双子は腹を抱えて笑います。 鏡夜はハルヒに子どもの相手は嫌いなのか尋ねます。 ハルヒは嫌いではないが、3日で50冊ほどの少女マンガを朗読させられたそうです。 お兄ちゃまと霧美も入ってきますが、暗いので泣き出してしまいます。 環はもう恐くないよと高い高いをします。 笑顔になる霧美を見る猫澤先輩は震えながらも懐中電灯を手にし、素敵な王子様のお兄ちゃまだと何度も呟きます。 自ら懐中電灯で顔を照らすことが出来るようになった猫澤先輩。 本当のお兄ちゃまだよと霧美に猫澤先輩を指差す環は抱き合う2人を想像しています。 懐中電灯の光で下から顔を照らしているために、振り向いた猫澤先輩にコトバにならない恐怖を覚える霧美は泣き出します。 懐中電灯を落とし、猫澤先輩はもういいんですと元気がありません。 これ以上特訓しても霧美が受け入れてくれる保証もないし、こんな兄より環が兄になった方がいいと感じてしまったようです。 環は霧美ちゃんが本当に会いたいのはあんただろうと猫澤先輩に言います。 顔を上げる猫澤先輩。 「妹が大事ならもっと死ぬ気で根性見せろよ!!」 カーテンを開けた双子は中庭にまだ霧美がいるのを見つけます。 一緒にいるのは猫です。 猫という言葉に反応する猫澤先輩。 双子は流石猫好き一家で野良猫にもすぐに懐かれるんだと言います。 「違います!!いくら猫澤家が猫を崇拝していても、だからといって野良猫と仲良くなれるなんてそんなオカルトなことあるわけないじゃないですか!!霧美は動物が苦手なんです。その中でも生きた猫が一番恐いんです」 窓ガラスを割って飛び出す猫澤先輩。 泣き出しかけの霧美に手を差し出す猫澤先輩。 肖像画と同じ顔の兄の姿を見て嬉泣きをしながら、猫澤先輩に抱きつく霧美。 れんげは私の特訓の成果だわと喜んでいます。 「ほーら、霧美、もう恐くないよ。あんな悪い猫はこの呪い人形ベルゼネフの力で…」 倒れる猫澤先輩。 野良猫はあくびをすると去っていきました、 数日後 第三音楽室 また猫澤先輩は黒装束を着ています。 双子はあの時に一生分の光を浴びたのではないかと推測します。 その反動で特訓前に戻ったのではないかと推測するハニー先輩。 霧美は猫澤先輩の肖像画にベルゼネフを書いています。 通りかかった猫澤先輩は咄嗟に隠れるというか、引き返します。 歩いている猫澤先輩の黒装束を掴む霧美は笑います。 笑い返す猫澤先輩。 たとえ怪物が現れてももう大丈夫。 だって霧美には自分が苦手なお日様の下でも飛び出して守って戦ってくれるお兄ちゃまがいるからと感じています。 第11話完 |